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PAINDUCE 米山 雅彦シェフ

ベーカリーパートナー33号シェフインタビュー

パンとは無縁の学生時代。パンを選んだのは朝が早いから

学生時代はやりたいことも特になく、食に関わる仕事に就こうという考えもありませんでした。大学時代トライアスロンの選手として全国大会にも出場できたので、それと両立できる仕事を探していたんです。そんな時パン屋さんの仕事は朝が早いと知り、それなら午後はトレーニングできると考えて、兵庫県西宮市でパンの製造販売をしている「株式会社カスカード」に就職することにしました。しかし、いよいよ4月から入社というときに阪神淡路大震災が起こって被災したんです。住む場所もなくなり、入社は無期限延期。一から仕切り直しを考えていましたが、幸いなことに6月から入社が決まり、生活を立て直すことができました。

最初はセントラル工場勤務で、その後店舗に配属されたんですが2年くらいで2番手になりました。嬉しい反面、2~3年で任せられる仕事では一生食っていけないとも考えました。すぐ達成できる仕事は競争相手が増えるだけと考えて、次に働くパン屋さんを探し出しました。

ブーランジュリーメルク・古山シェフの懐の深さに感謝

次に働くパン屋さんを探していた際に、大阪府豊中市の「ブーランジュリーメルク」のパンが美味しくて、ここで働かせてくださいとお願いしました。しかし、有名店メルクで働きたい人は私以外にもたくさんいて順番待ち。どうしてもメルクで勉強したかった私は、オーナーの古山シェフが出入りするところを狙って、出待ちすることにしました。古山シェフにお願いすること数回、行動から本気度が伝わったようで、休みの日にメルクで勉強することを許可していただきました。しかし、しばらくしてもメルクでは働く枠がなかったので、古山シェフが知り合いを通して、当時大注目の「コム・シノワ」はどうだと紹介してくださったんです。コム・シノワで当時ブーランジェリー部門を統括されていた西川功晃シェフ(現「サ・マーシュ」オーナーシェフ)に、働きたい旨を伝えたのですが、メルク同様、人がいっぱいだと言われました。ただ「2店舗目をやる予定になっているからその時に来られるなら来て」とお誘いいただいたんです。それからは平日はカスカードで働き、休みはメルクで勉強する日々を送りました。無理を言って休日にメルクで勉強させていただいたことで、半年間で一定の技術も身につきました。まかないも食べさせていただき、古山シェフには本当に感謝しています。
半年後、2店舗目のオープンの目処がたったとコム・シノワから連絡を受け、それを機にカスカードとメルクを卒業しました。そして、コム・シノワでオーナーの荘司索シェフと西川シェフに本格的にお世話になることになりました。

荘司シェフと西川シェフの二人無くして今の私は存在しない

コム・シノワで働き始めたときは無我夢中で働いたので、当時の記憶はほぼありません(笑)。最初はもちろん雑用からスタートしました。成形をする麺台を4人の職人が囲むようにして働いていたのですが、ちょうど西川シェフの隣が空いていたんです。そこに入って「仕事が終わりました。手が空きました」と何回か繰り返した時に、たまたま成形していたベーグルを「やってごらん」と挑戦させてもらうことがありました。しかし、最初からうまくいくわけもなく失敗。そんなことを繰り返す内に、ちょっとずつ仕事を与えてもらえるようになっていきました。
今では笑い話となっていますが、働き始めてすぐに西川シェフに叱られたんです。レモンやライムの皮を擦りおろし、ラップで包んでひねって止めたところ、西川シェフから「ちゃんと折りたため」と注意されました。そこで新しいラップを使おうとしたら、「ラップがもったいない!」とすごい剣幕で怒られたんです。新入りの私の気を引き締めるために言ったんだと思いますが、当の西川シェフは「そんなことあった?」と覚えておらず(笑)。今では「ラップ事件」と呼んでネタにしています。
思い返すと当時の現場の空気は緊張感があって、とてもじゃないですが仕事中に雑談をする雰囲気ではありませんでした。ただ、生来の気質というか、私の血が騒いでしまい、勇気を持ってみんなを笑かしてみたんです。そしたら西川シェフが笑ってくださって現場が和み、それからは仕事がやりやすくなったように感じましたね。笑いという潤滑油を用いたコミュニケーションは大事だと身を持って経験しました。
荘司シェフのお話になりますが、あのころ「この料理にはこのパン」という発想でパンを大事に扱って料理をされている方は稀で、その感性は流石だと思いました。そのお洒落な雰囲気も含め、今でもとても尊敬し憧れています。
実際に荘司シェフと西川シェフと一緒に働いてわかったことは、二人の想像力が非常に豊かだということです。「湖の先にある小屋で出すようなパンを作りたい」という二人の話からパンが生まれてくるんです。もはや驚きです。具現化する技術もすごいですが、感性がとても大切だと気付かされました。荘司シェフと西川シェフの二人がいなかったら今の私はいません。そしてその二人が今もバリバリ最前線でやっていらっしゃるので、私もさらに上を目指せます。「親が元気でありがたい」みたいな感じですね。

パンデュースらしさ=国産小麦×旬の野菜×自由

パンデュース開業のきっかけは、西川シェフの元にきた開業話でした。…………(続く)
 


PAINDUCE
●所在地:大阪府大阪市中央区淡路町4-3-1 FOBOSビル 1F
●立地:地下鉄御堂筋線「本町」駅から徒歩4分
●人口:大阪市中央区 約9.6万人
●開業年:2004年12月1日
●定休日:日曜日
●従業員:15人(販売7人・工場8人)
●営業面積:27坪(売場9坪・工場10坪・カフェ8坪)
●日商:平日25万円/金土30万円
●客単価:平日700円/金土800円
●オーブン台数:1台(4枚4段)
●ミキサー台数:2台
●パンの種類:120種類(生地15種類)


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