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ヒュッテ  木村 幹雄

 




福祉の道から、大きく舵を切りパンの道へ

 

北海道亀田郡七飯町。函館市の北西に位置する人口約2万8千人の町に、雄大な自然に囲まれたパン屋ヒュッテがある。「親方」の愛称で親しまれる木村幹雄さんと、「女将」と呼ばれる笑顔の素敵な由紀枝さんの夫婦2人で経営するパン屋だ。店名はドイツ語で山小屋を意味しており、その名の通り山小屋を思わせる温かみのある造りとなっている。もともとガレージだった所を改装したという店内では、親方の作るパンと女将の作る食事と珈琲を楽しむことができ、穏やかな時間が流れている。

木村さんと由紀枝さんは、1987年にこなひき小屋というパン屋を七飯町にオープンさせた。そのパン屋を息子夫婦に譲って、ヒュッテをオープンさせたのが2015年。現在は無理せず夫婦ふたりだけで、身の丈にあった暮らしをしていければ十分と話す。店内にはテーブル席がひとつと、カウンター席がふたつ。小さな暖炉がある店内には、小さくかわいらしいパンから、大きく本格的なドイツパンまで種類豊富なパンがずらりと並ぶ。数百円握りしめてパンを買いに来てもらえるような日常的に通えるパン屋でありたいという木村さんの言葉通り、100円台から購入できるリーズナブルなパンが取り揃えられている。パンの種類が豊富で、木村さん一人で作っているとは思えないほどだ。

木村さんと由紀枝さんは、もともとは福祉の道を志していた。福祉系の大学で出会った2人は卒業後、福祉施設で勤務する中で、ハンディキャップを背負った人たちの働く場所を増やすこと、彼らが社会の中で自立できる場所を作りたいと考えるようになったという。ハンディキャップを持った人は、その障害の程度によって仕事先が決められる。それは本人の意思でないことがほとんどで、「これくらいの仕事ができるから、この仕事を任せよう」という形で社会に出ることが多い。その現状を歯痒く思った木村さんは、ハンディキャップを持っていようがいなかろうが、自由に選択できる場所を、由紀枝さんと2人で作ることに決めたのだという。

その時は最初からパン屋をしようと決めていたわけではなく、まずはどんな職業でも挑戦してみようと思っていた。福祉施設を退職後、知り合いから札幌市内にある有名ベーカリーを紹介してもらったことで、木村さんはパンの道へと進むこととなる。

 

 

大変だったけど、面白かった修業時代

 

木村さんは、まず紹介されたベーカリーの社長に1年だけ雇ってもらえないかと相談することにした。通常独立するためには3~5年ほど修行するものだが、木村さんの目的はパン屋になることではなく、ハンディキャップを持つ人の働き場を作ること。その思いを理解してもらい、1年の修行を承諾してもらった。

その1年はとにかくがむしゃらに修行に励んだという木村さん。全く未経験の中、最初から1年で独立するという覚悟で働き、3か月で12キロも体重が落ちるほど多忙だったという。しかし同時に新しいことを学び、知ることに喜びを感じる日々は、とても面白かったと木村さんは振り返る。

予定通り1年で修業を終えた木村さんは、こなひき小屋というパン屋をオープンさせた。チラシも広告も打たずにオープンしたものの、最初の3日間は焼いた側から売れていくといった様子で、お客さんが絶えなかったという。元職場の職人仲間も応援に駆けつけてくれて山ほどパンを焼いたが、すぐに棚から商品がなくなる人気ぶりだった。

店が軌道に乗った頃から…………(続く)


 

 

ヒュッテ(Hütte)
 

●所在地:北海道亀田郡七飯町仁山461-6
●立地:JR線「仁山駅」から徒歩10~15分
●開業年:2015年
●定休日:月曜・火曜・水曜
●従業員:2人
●営業面積:12坪(売場4坪・工場8坪)
●客単価:平日1000円/休日1400円
●オーブン台数:1台
●ミキサー台数:1台
●パンの種類:40種類(生地34種類)※日替わり9種類程度

 

 


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