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TOLO PAN TOKYO 田中 真司・野中 陽介・小林 純平

 

トロパンが誕生し渡されていくバトン

 

TOLO PAN TOKYOは、2009年7月に東京都池尻大橋にオープンした。シェフである田中真司さんと、当時代表取締役であった上野将人さん(現・相談役会長)が共に立ち上げたブランドで、人気の秘密はなんといっても、その独創性にあふれたパンの数々。新しい自由な発想で生み出されるパンと、それを支え、発信する店舗運営が一体となっているところがTOLO PAN TOKYOの強みだ。今回は、開業から今に至るまで「トロパン」を育て上げてきたシェフの田中さんと、店舗のプロデュースを担う取締役の野中陽介さん、さらに田中さんに才能を見出され現在店舗のパンづくりを任されているシェフの小林純平さんを加え、三人にTOLO PAN TOKYOのこだわりや、今後の展開など幅広くお話をうかがった。

10代の頃はプロのボクサーを目指していたという田中さんは、17歳でその道を諦めた。努力だけではどうにもならない才能の世界の厳しさに、大きな挫折を味わったという。そこからパン職人になったきっかけを尋ねると、意外にも「魔女の宅急便」と答えが返ってきた。ジブリ映画で見たパン屋の様子に惹かれて、パンの道に入った田中さんは、尊敬する師との出会いを経て6年間の修行の後、上野さんとパン屋を開業する運びとなる。元々、友人同士だったという二人は、上野さんの一言から、仕事上のパートナーとなり、よき理解者となっていった。お互いにそれぞれの夢を抱いていたという二人は、お互いを高め合うような関係だったという。遊びの延長線上のようでもあり、夜中まで仕事しても苦ではなかった。本当は、研究員という肩書きでいたいんですと、田中さんは苦笑する。経営に関することを上野さんに任せ、雇われのシェフとしてパンづくりに集中できたからこそ今があるという。

野中さんは、元々上野さんが独立前店長として勤めていた飲食店の後輩という間柄で、2人が働くお店に、よく田中さんが客として来店していたという。デザイン会社勤務を経て、店舗設計のスキルを活かしながらお店の経営やプロデュース業に携わりたいと考えていたタイミングで縁が繋がり、トロパンに合流した。田中さんの才能に惚れ込み、田中さんの良さを活かしていくにはどうしたらいいのかを考えプロデュースをしているという。野中さんが加入したことにより、事業の展開の幅がグッと広がり、新しい風が巻き起こったという。そのタイミングで入ってこなかったら、トロパンはぬるくなっていったかもしれないと田中さんは振り返る。

小林さんは29歳という若さながら田中さんにその腕を見込まれ、お店を任せられるシェフとして台頭した。小林さんが入ったのは4年前で、田中さんがはじめて「この人ならお店をまかせることができるのでは」と可能性を感じた人だったという。
 

日々のブラッシュアップが職人を育てる

 

TOLO PAN TOKYOのコンセプトは「お客様の半歩先を歩く、革新的で驚きに満ちたパン屋」。そして、とにかく「おいしい」を追求するということだ。その言葉通り、トロパンは時代に合わせて新しい様々なパンを店頭に並べてきた。開業当初からのメニューもあるが、レシピはブラッシュアップを重ねており、当初とは異なる小麦粉を使っていることもあるという。そういったブラッシュアップの積み重ね、より良いものを作っていくという挑戦心が、トロパンらしさにつながっている。

また、職人の育成には力を入れており、これまでに何人もの優秀な独立者を排出してきた。そんな中、一番実力を見込まれ、お店を任せられるほどに成長したのが小林さんだった。「あまり褒められることがないので、まだまだです」と苦笑する小林さんに「それは小林くんに対してはハードルが上がっているからね」と田中さんと野中さんが返す。田中さんは、投げかけたらきちんと「答え」が返ってくるのが小林さんのいいところだという。それはまず、きちんと「話を聞くこと」ができているからだと言い、そうやって技術を吸収し、自分の世界を広げて成長していく小林さんに目をかけている。

「一年以上この店にいて、一年同じことをしているのであれば意味がない」という小林さんの言葉が、トロパンの飽くなき挑戦心を表しており、非常に印象的だった。


次なるトロパンに進化するための過渡期
 

メインシェフにたよらない、二番手、三番手の育成の取組み。そして、卸や通販といった事業展開が軌道に乗ったこともあり、TOLO PAN TOKYOは次のステージへと歩み始めた。それを象徴するのが…………(続く)


 

TOLO PAN TOKYO

 

●所在地:東京都目黒区東山3-14-3
●開業年:2009年
●定休日:火・水曜日
●従業員:13人(販売6人・製造7人)
●営業面積:店舗11坪(売場4.4坪・店舗厨房6.6坪)工場19.8坪(工場16.3坪・休憩室3.5)
●日商:平日30~35万円/休日40~45万円
●客単価:休日1050円
●オーブン台数:4台(スチームコンベクション3台、コンベクションオーブン1台)
●ミキサー台数:2台(90コート1台、50コート1台)
●パンの種類:生地55種類
●Instagram:https://www.instagram.com/tolopantokyo/


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