ペニーレイン 植月 崇・坪山 稔和
小さなベーカリーが大きくなるまでの軌跡
那須インターチェンジから車で約15分、緑豊かな高原内にビートルズの世界観が魅力のベーカリー＆レストランペニーレイン那須本店がある。ブルーベリーブレッドをはじめ、人気パンを目当てに那須に訪れる多くの観光客の目的地のひとつとして選ばれる人気店だ。現在は那須本店に関わらず多店舗にわたり、ベーカリーとレストランを経営している。そのブランド戦略や現在に至るまでの軌跡を取締役の植月崇さんと坪山稔和さんにうかがった。
もともとオーナーがペンションを経営しており、朝食用に提供するパンを手作りしたことがペニーレインのオープンのきっかけだった。当時、那須には他にパン屋さんがなく、自家製パンが好評となってやがて他のペンションにもパンを卸すようになったという。そこで本格的にベーカリー＆レストランとして展開するために、ペニーレインというお店をオープンさせた。植月さんと坪山さんが入社したのはオープンから数年経った2000年、スタッフがまだ３、４名の頃だ。当時はパンの種類も20種類程度しかなく、平均日商も３万円ほどで、まさか現在ほど大きくなるとは予想もしていなかったという。当時はあくまでペンション事業がメインで、パンの製造販売は派生事業という位置づけだった。転機となったのは、お店が紹介された雑誌がテレビ関係者の目にとまり、パンの選手権のオファーをもらったことだ。企画の内容はパン屋さんが集まってパンを販売し、一番売上が高かったところが優勝というものだった。植月さんと坪山さんは、ブルーベリーブレッドやそのほか代表的なパンを販売して、見事その選手権に優勝した。当時のベーカリースペースは売場２坪、工場8坪ほどだったが、オーナーの判断により、選手権の収録日からテレビ放送日までの短期間で売場20坪、工場30坪まで広げた。人員も設備もそろえ、放送後にブルーベリーブレッドが爆発的に売れてもそれに耐えうる製造販売環境を整えたという。それが功を奏し、客層が大きく展開した。
二人三脚でペニーレインを発展させてきた
小さなベーカリーだったペニーレインが現在のように多店舗展開するまで、植月さんと坪山さんは激動の時代を経験してきた。二人にお互いの仕事の立ち位置や役割を尋ねると、「ビートルズのジョン＆ポールが二人三脚で作詞作曲してきたように、僕たちはパンの開発からお店の展開まで一緒に考えてきたんです」と話す。植月さんはペニーレインの世界観を作りながらメッセージを発信し、お客様目線でサービスを向上させるのが得意で、坪山さんはパンの製造のスピードが速くテクニシャンだ。タイプは違うが、お互いを尊敬し合い、それぞれの良さを活かしているという。 植月さんはもともとチェーンベーカリーに勤めており、ある時、お客として通っていたペニーレインのオーナーに魅了され入社した。いずれ自分のお店を持ちたいと思っていたが、チェーンベーカリーに所属しているよりも、ペニーレインでならそれを叶えられると感じたからだという。また坪山さんはホテルへのパンの卸業務をメインにやっていたが、店舗でのパンの製造販売に専念したくペニーレインに入社した。それから二人はテレビでのパンの選手権での優勝をきっかけに、拡大していくペニーレインの店長へ就任したり、新店舗立ち上げに関わったりと仕事を発展させてきた。「まさか、ここまで大きくなるとは思ってなかったですね」と植月さんと坪山さんは振り返った。
ペニーレインのブランディング
ペニーレインのブランディング戦略について尋ねると、ふたりは少し考えたあと、「お客様に求められることに答えてきたのが一番」と口を揃えた。ブランディング戦略というように計算したわけではなく、どうすればお客様に知ってもらえるか、美味しいパンを届けられるかを考えながらやってきた結果が今に繋がっている。また、製造にこだわるなどパンのクオリティを担保するのも重要だが、お店のこだわりとして一番大事にしていることは…………（続く）
PENNY LANE 那須本店
●所在地：栃木県那須郡那須町湯本656-2
●立地：那須インターチェンジより車で約15分
●人口：約115,720人
●開業年：2000年
●定休日：無休
●従業員：22名（販売12名・製造10名）（ベーカリーのみ）
●営業面積：50坪（売場25坪・工場20坪）
●日商：平日80万円/休日150万円
●客単価：平日1800円/休日1800～1900円
●オーブン台数：2台
●ミキサー台数：2台
●パンの種類：80種類（生地18種類）
●instagram：@pennylane1960
●facebook：@imaginepenny
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