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CICOUTE BAKERY 北村 千里シェフ

ベーカリーパートナー34号シェフインタビュー

大型の食事パンに魅せられてパンの世界に飛び込んだ20代

小さい頃は、ピアノを習ったり絵を描いたり、よくいる普通の女の子でした。絵本作家になりたいと夢見ていましたね。家庭科や料理はダメなタイプで、手先も器用ではありませんでした。その後、美大に進みましたが、当時は就職氷河期で、卒業後はフリーターとして映像関係の裏方のアルバイトをしていました。 「このままではいけない。何かやらなくては」とモヤモヤ考えていた頃、料理番組の仕事で、「大型の食事パン」を目にしたことが人生の転機となりました。カッコ良い食事パンを一目見て、「これだ!」と心惹かれたんです。当時の仕事ではやりがいを見つけられずにいましたが、おいしいパンが焼ければ、誰かを喜ばせることや幸せな気持ちにすることができるかもと思いました。そこでカフェで働いている友人に聞いてみたところ「経験者じゃないとパン生地を触らせてもらえないよ」と教えてもらったんです。パンを作れる職場を色々と探してみると、アフタヌーンティーだったら未経験でも最初から仕込みに携われる環境だったので、まずはそこで働いてみることにしました。これが、パンの世界に飛び込んだきっかけです。 最初はホイロで生地が膨らむのを見ただけで感動しましたし、純粋にパンづくりが楽しくて、次第にのめり込んでいきました。その姿を見た先輩が、竹谷光司先生の『新しい製パン基礎知識』と、吉野精一さんの『パン「こつ」の科学―パン作りの疑問に答える』を紹介してくださったんです。最初はなかなか頭に入ってきませんでしたが、この二冊と体験をセットにしながらパンづくりを学んでいきました。



若い時の失敗は取り返せる28歳開業を目標設定して行動

当時「将来何か一緒にやろう」という約束を美大予備校の同級生としていました。大学を卒業してお互いのその時の状況でカフェとパンのお店をやることに決めて、開業までにお互いこれくらいできるようにならないといけないから、そのためには何年必要で、と計算し、28歳に開業することを目標に設定しました。28歳だったら失敗してもその時にやり直せるとも考えたんです。 アフタヌーンティーで働いた後、国産小麦と自家製酵母でパンを作っている原宿のパン屋さんを経て、鎌倉の「cafe Takaraya(現:KIBIYAベーカリー)」でお世話になりました。その頃は週に3日、昼までパン作りをして、他の日には別のカフェでアルバイトをしていました。カフェの店長は私がパンを作っていることを常連様に紹介してくださるなど、温かく見守ってくださいました。 週2日程度のお休みは自宅でパンを焼いて、ノートに温度、酵母量、濃度、味わい、ボリューム、香り、パンチの回数などデータにしながら、実験にも似たパンづくりをしていました。予想通りにドンピシャなんてことはなくて、毎回試行錯誤しながら、果てしなくパンを焼いていましたね。先に進むには経験しかないと思っていましたから。うまくいかないときはパンに関する本を読んでヒントを得たりして軌道修正していきました。バイト先のカフェで好きそうな方にご試食でパンをお渡しさせていただいたこともあって、購入したいと言ってくださる方もいてクチコミで広がっていきました。鎌倉周辺でパンを焼いて自転車で配達する、そんな日々が4年程続きました。

危うくマフィン屋さんになる寸前だった開業当初

2000年、開業を目標としていた28歳の時、実家の1階を賃貸して、卸と通信販売を専門としたチクテベーカリーをオープンさせました。間もなくして下北沢の友人のカフェが大ブレイクして、カフェのために作っていた直火焼きのマフィンの製造が追いつかず、寝る暇もなく作っていました。とにかく目の前のことに精一杯で、窯の前で立ちながら寝るほどで、配達の帰り道で事故を起こしてしまったこともありました。幸い対物事故で誰も巻き込まず自分も無傷でしたが、配達の車も廃車になってしまい、今後のことを真剣に考えないといけない状況になっていました。もともと自家製酵母と国産小麦のパンで勝負したかったこともあり、マフィンに頼らず自立したい、と考えて思いを新たにリスタートしました。思い切って新規の借り入れをして実家の1階の工房の前に2坪の小さな売場を増設。当時無償でお店を手伝いにきてくれる方がいたので、その人に給与を支払えるくらいはと考えて、2002年にチクテベーカリーを本格的に始動させました。

融資の際の悔しい思い実績で認めさせるしかない

この時融資を受けたのですが、借入の際に女性だと融資額が少ないとか、お見積りが高かったり……自宅の1階だったこともあって「遊びだろう」とか「親のスネかじって」と言われたことも。最終的にこれらのマイナスを跳ね返すためには…………(続く)


CICOUTE BAKERY
●所在地:東京都八王子市南大沢3-9-5 101
●立地:京王電鉄相模原線線 「南大沢駅」から徒歩10分
●人口:約58万人(八王子市)
●開業年:2002年
●定休日:月・火曜日
●従業員:12人(販売5人・工房6人・事務1人)
●営業面積:18.7坪(売場7坪・工房11.7坪)
●日商:平日22万円/土日祝36万円
●客単価:平日1100円/土日祝1500円
●オーブン台数:1台(3枚3段)
●ミキサー台数:1台
●パンの種類:平日70種類/土日祝85種類(生地19種類)


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