Boulangerie Auvergne 井上 克哉シェフ
負けず嫌いな性格と良い先輩がパンづくりを面白くさせた
社会人のスタートは警備員でした。条件はよかったのですが、1年半で辞めてしまいました。実は、格闘技がやりたかったんです（笑）。とはいっても働かなくてはいけませんから、格闘技と両立できる仕事はないかと探しました。そこで出会ったのがパンだったんです。パン屋さんなら朝から仕事をして夕方には格闘技ができると考えてパン業界に飛び込みました。
最初は中村屋ファリーヌでお世話になったのですが、先輩が年下で悔しい思いをしたので、「追いついてやろう」と負けん気に火が着きました。まずは真似からはじめたのですが、やりだしてみるとだんだん面白くなって自然とのめり込み、半年でその先輩とは立場が逆転しました。見本となる良い先輩がいたのも大きかったですね。できるようになってくると周りの見る目が変わってくるのを実感しましたし、下にいる人がどうやればついてくるのかも体験することができました。やっぱり背中で仕事を見せることが、大事なんだと思いましたね。
中村屋ファリーヌではいい経験をさせていただいたのですが、社員になれなかったので東京ビゴでお世話になり、そこでフランスのエスプリを学びました。その後、より幅広い知識を求め色々な国のパンを高いレベルで製造販売していたドンクに入社しました。
ドンクに入社して新しいパンの世界を知る
ドンクに入社したことは、私の転機となりました。ドンクは人を育てる会社で、講習会の参加も自由で製パン技術の下地がある程度できていた私には、その環境がとても肌に合って仕事を楽しめました。コンテストの参加も勧めてくれる会社だったので、世界が広がりましたね。素直にドンクに入社して良かったと思います。ドンクでは勉強することができたので、自分の力を試してみたいと当時一番忙しいと言われていた銀座・ジョアン店で働きたいと異動希望を出したんです。
ジョアンでは製造量も多く、常にスピードが求められましたので、私はここで一皮むけたと思います。また、チーフだった徳沢浩明さんがクープ・ドュ・モンドにチャレンジしている姿を見て興味を持ち、自分も挑戦したいと思いました。コンテストに参加して入賞するドンク社員を見て、「よし、私も！」とコンテストに参加するようになりました。
30代前半には、中村屋ファリーヌで働いているときから何となく考えていた独立を意識するようになりました。ドンクは居心地が良かったので、このままドンクで働いてもいいかなと思っていたのですが、年々自分でやってみたいという思いが強くなりました。そしてクープ・ドュ・モンドの国内選考会で日本代表に選ばれたらドンクを続け、ダメだったら独立だと決めてチャレンジしました。
人生はうまくいかないもので、2回目の挑戦も最終選考までいったものの力及ばず、独立の道を選びました。
物件契約は５月。夏は動かず秋口オープンを決断
立石の駅前に15坪の物件があったのですが、手狭でしたし、商店街はゴミゴミしていて嫌だったので、駅から離れた現在の20坪の物件に決めました。一人でやるには広すぎると思っていたのですが、長い目で考えれば広い方が良いとも考えました。
物件は5月に借りたのですが、オープン日は11月1日にしました。その理由は…………（続く）
Boulangerie Auvergne/La tavola di Auvergne（ブーランジュリー オーヴェルニュ/ラ タヴォラ ディ オーヴェルニュ）
●所在地：
Boulangerie Auvergne/東京都葛飾区立石6-5-7
La tavola di Auvergne/東京都葛飾区細田5-9-15
●立地：
Boulangerie Auvergne/京成押上線「立石駅」から徒歩で15分
La tavola di Auvergne/京成本線「京成小岩駅」から徒歩10分
●人口：葛飾区約44.4万人
●開業年：2003年11月
●定休日：なし
●従業員：
Boulangerie Auvergne/14人（社員9人・パート5人）
La tavola di Auvergne/13人（社員9人・パート4人）
●営業面積：
Boulangerie Auvergne/20.5坪（売場5.5坪・工場15.5坪）
La tavola di Auvergne/44坪（売場10坪・イートイン10坪・工場24坪）
●日商：
Boulangerie Auvergne/平日25万円/土日祝35万円
La tavola di Auvergne/平日25万円/土日祝40万円
●オーブン台数：1台（4枚3段）/1台（4枚3段）
●ミキサー台数：2台/2台
●パンの種類：200種類以上（生地25種類）
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