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ブーランジェリーエルポール  森 将雄

 




大手製パン会社勤めからパン屋へ、開業を決めた奥さんの一言
 

埼玉県越谷市、せんげん台駅から歩いて10分。〝町のパン屋さん〟と聞いた時、誰もが思い描くようなお店、それが「ブーランジェリーエルポール」だ。閑静な住宅地の通り沿いに店を構えるエルポールでは、毎朝開店前にはお客様が集まり始める。車が入れ替わり立ち代わり駐車場に入ってくる様子から、お店が地域に根付き愛されていることが伺えた。
そんなエルポールで、お客様や従業員から〝ポールさん〟の愛称で親しまれているのが、オーナシェフの森将雄さんだ。

森さんは、元々大手製パン会社に勤めており、商品開発部門で新商品開発を担当するなどしていた。しかし30代も後半に差し掛かった頃、心臓の病で倒れ、手術を受けることとなる。その後は元の職場で総務を担当していたが、さらに体調の悪化で思うように仕事ができなくなってしまう。1年間休職することとなった森さんは、休職中ほぼ寝たきりで過ごしていた。そんな時、奥さんから「今の仕事を辞めて、リハビリがてら小さなパンさんを開こうよ」と提案された。奥さんの言葉をきっかけに、退職を決意した。

開業はゼロからのスタート、パン屋を知ることから

1ヶ月半かけて春日部中を歩き回り、家から近くの路地裏に3坪の小さな物件を見つけた。その物件は10年間で4回もお店が変わるほど商売が続かない場所だったが、奥さんの実家が近いことと、家賃が安かったということもあり、その場所にお店を出すことを決めたという。
開業費は、勤めていた製パン会社からの退職金を充てて、借金することなく開業をすることができた。開業準備の傍ら、どんなお店をやっていくか、奥さんと一緒に色々なパン屋を回りながら構想を練る中で、あるパン屋さんに感銘を受けたという。そのお店では、売り場にたくさんの種類のパンが並んでおり、お客様たちが店内に入る前から「今日は何を買おうか」と話している光景が印象的だった。小さなお店でもパンの種類が多く、お客様がわくわくするようなパン屋にしたいと、そのお店を目標にしようと決めた。
そのため開店当初から3坪の小さなお店にパンを100種類置くことにした。しかし、100種類ものパンを作っても、お店の認知度がなく日商4万円ほど。作ったパンが、半分売れ残る日々が半年間続いた。
奥さんに「売れ残っているのにまだ作るの?」と言われながらも、森さんはそれをやめなかった。病気で寝たきりになった時、人生が終わったかのような絶望感を味わった。「後悔がないようにやれることをやろう!」と思い、新商品を作り続けた。お店が暇な時ほど、仕入れ先や問屋に直接赴き、新しい材料を探しては新商品を作り、ブラッシュアップし続けたという。

広告宣伝は一切なし!口コミが広げたお客様の輪

最初は狭い売り場に毎日100種類以上のパンを並べていたが、次第に種類が増えていき最終的には140種類に到達した。パンの置き場がなくなって天井から吊したり、棚を作って増やしたりと、様々な工夫を凝らしてパンを置いていた。そんなことを続けていると「面白いパン屋がある」とお客様がお店の写真をSNSで投稿してくれるようになった。そこからじわじわと口コミが広がり、認知度が上がっていったという。種類が多いこともあってか、リピーターのお客様が増え、オープンから半年経つ頃には月商200万円を超えた。

ロスパンも宣伝に活用、近所に配って仕事に繋げる

売上が安定しても、100種類以上のパンを焼き続けていたため、廃棄が出る日も多かった。ロスが出た日は、近隣の居酒屋にパンを持っていき「お客様たちにパンを持たせてください」と手土産用のパンを無償で渡すこともあった。すると、今度は居酒屋側から…………(続く)

 


ブーランジェリーエルポール


●所在地:埼玉県越谷市千間台西2-19-12
●開業年:2014年
●定休日:火・水曜日
●従業員:4.5人(販売2人・製造2.5人)
●営業面積:36坪(売場12坪・厨房24坪)※駐車場9台
●日商:平日45万円/休日50万円
●客単価:平日1,400円/休日1,700円
●オーブン台数:2台
●ミキサー台数:2台
●パンの種類:190種類(生地27種類)

 

 


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