パン工房ぐるぐる 栗原 淳平
開業時に目指すと決めたぐるぐるの理想の姿
JR線「上菅谷駅」より徒歩12分、閑静な住宅街を抜けると「パン工房ぐるぐる那珂本店」がある。店内に足を踏み入れると、まず目を引くのは「奥久慈卵のとろ~りクリームパン」の垂幕だ。多くのメディアで紹介され、ぐるぐるといえばクリームパンと言われるほどの看板パンである。編集部が店を訪れた午前10時、広い駐車場には既に車が多く出入りしており、正午前後の繫忙時はパンを買い求めにやってくるお客様がお店の外に並ぶこともあるという。そんな人気店ぐるぐるを率いるのは、今年10月にドイツで行われるパンの世界大会ibaカップの日本代表として選出された、栗原淳平さんだ。今回は栗原さんにお店を開業するまでの経緯や、経営で工夫していること、今後の展望など幅広くお話をうかがった。
栗原さんはもともと何かを作ることに興味があり、最初はお菓子作りで自分が作ったものを他者に食べてもらう喜びを知ったという。パンづくりにも挑戦してみたところ、レシピ通りに作ったつもりでも思い通りにならない奥深さに触れ興味を引かれた。その頃、ちょうど進路を考えるタイミングだったこともあり、30歳までに独立することを目指してパン職人になることを決意した。目指すものから逆算して高校卒業後、専門学校に入り、その後デイジイにて修業を開始する。
2011年、28歳のときに1店舗目のぐるぐるひたちなか店をオープン。その後、2016年に2店舗目であるぐるぐる那珂本店をオープンさせた。最初から独立することを視野に入れていたため、修業時代から経営についても興味を持っていた。25歳から3年間、店長経験をしていく中で経営層とコミュニケーションを取りながらお店を運営するための知識を学んでいった。
いざ独立するというタイミングで、栗原さんは働く意義や目的について思考を巡らせ、「人を幸せにしていくため」だと自分なりに結論を出した。ぐるぐるでは「人を幸せにすること」を目的として「お客様」「スタッフ」「関係者」「地域」「会社」の5つの幸せを目指している。
ぐるぐるの価値観の共有の方法とは
ぐるぐるでは、目指すものを従業員に浸透させるために多くの工夫がされている。ぐるぐるのスタッフとしての価値観を統一するために、ぐるぐるのビジョンや目標をどのように実行し実現していくのかをまとめた冊子を作っているという。開業当時から少しずつ価値観を言語化し、さらに時代の変化と共にブラッシュアップを重ねて冊子としていった。その冊子が存在するだけでは誰も気にとめないので、朝礼のときに唱和してから業務に入ることを徹底させているという。また、入社前の面接時にも価値観の確認をしたうえで、面接をしており、栗原さんが丁寧に価値観の共有をしているのがうかがえる。例えば、5つの幸せのうちの1つであるお客様の幸せについて、ぐるぐるが思うお客様の幸せとは何なのか、そのために何をするのか、今やる業務はどう繋がっているのかを日々スタッフに振り返ってもらうきっかけになっているという。従業員によって理解の濃淡は異なり、またポジションによって見え方が異なる点もあるが、言語化されていることによって目指していくものの実現性が高くなると考えているそうだ。ぐるぐるの大枠の価値観の統一はありつつも、もちろん多種多様な従業員の価値観も尊重している。人それぞれの役割があって、多種多様なスタッフがいるからこそぐるぐるが成り立っていると栗原さんは従業員に感謝していた。
パンの世界大会ibaカップの挑戦について
経営者としての姿はもちろんのこと、栗原さんはパン職人としても研鑽を重ねている。2021年10月にドイツで開催されるパンの世界大会ibaカップに日本代表として選出された。大会のテーマは…………(続く)
パン工房ぐるぐる 那珂本店
●所在地:茨城県那珂市菅谷5360-1
●立地:JR線「上菅谷駅」より徒歩12分
●開業年:2016年
●定休日:水曜日
●従業員:35名
●営業面積:45坪(売場20坪・工場25坪)
●日商:平日30~35万円/休日55万円
●客単価:約1200円
●オーブン台数:2台
●ミキサー台数:2台
●パンの種類:100種類(生地10種類)
●Facebook:@guruguru2011
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