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コム・ン 大澤 秀一

 


世界一のパン職人が生まれるまで

東急大井町線「九品仏駅」から徒歩1分。道路に人だかりが見えてくると、そこには2020年8月にオープンしたComme’Nがある。編集部が取材に伺った平日にもパンを買い求めるお客様が途絶えることなく列をなしていたが、休日には更に多くのお客様が来店するという。時には近くの九品仏浄真寺の参道まで行列が伸びることもあるというから驚きだ。美しいパンが並ぶ店内は奥の厨房まで見渡せる造りとなっており、職人がパンを捏ねて焼いている様がお客様の目にもはっきりと映る。パンを作り販売するスタッフたちと、パンを買い求める多くのお客様との活気がお店の一体感に繋がっているようだった。
そんなComme’Nを率いているのは、2019年、パンの世界大会であるモンディアル・デュ・パンで総合優勝を果たした大澤秀一さんだ。今回は大澤さんにモンディアル・デュ・パンのことについてや、そこに至るまでの経緯、お店のこれからについて幅広くお話をうかがった。
世界大会で総合優勝するという輝かしい結果を残した大澤さんだが、大会に挑む前は自信があったわけではないという。日本大会や公開練習の際に、周囲の期待が大きく、「大澤さんなら優勝できる」という声に不安を感じていたそうだ。そんなプレッシャーの中、それでも優勝できたのは、大会のために世界で一番練習したからだと振り返る。大会の所要時間は前日準備に90分、大会本番時間が8時間半だそうだが、毎日本番を想定して練習すると10時間近くかかる。それだけでなく、当時は高崎でお店を経営していたため、そこで販売するパン作りにも8時間~10時間ほど時間をかけていた。つまり一日20時間あまりを厨房で過ごしていたことになる。大会の練習とお店の経営を両立させるのはハードではあったが、練習しているパンを販売することでお客様に意見をもらうことができたのは良かったと大澤さんは振り返る。当時のお店は喫茶店の駐車場の一角にあるプレハブをお店として使っており、それも元々は大会の練習のために厨房を使えるところを探していて見つけたそうだ。モンディアル・デュ・パンにかける大澤さんの想いの強さが伝わってくる。


パンの世界大会に出場するまでの紆余曲折

大澤さんが最初にモンディアル・デュ・パンに出会ったのは第5回大会の時だ。修業先としてお世話になっていたサ・マーシュの西川功晃シェフに世界大会に応援に連れていってもらった。そこで応援するだけでなく、自身が出場したいという想いに駆られたという。過去に大会に出場したシェフは大澤さんが尊敬しているシェフばかりだった。応援する立場でしかないことが悔しく、大会に参加するシェフを羨ましく思ったという。 大澤さんのパン職人としての道のりには紆余曲折があった。もともと大澤さんの実家がパン屋さんを営んでいたため、パン職人になることは自然な流れだった。18歳の頃からパン職人として働き、奈良のパン屋さんや実家のパン屋さんで経験を積んだ後、25歳のとき前橋の農産物直売所でパン屋を開業したという。しかし1年余りで直売所の撤退が決まり、同時に店も閉店することになった。それを機会に、大澤さんは憧れていた西川シェフのお店サ・マーシュで働きたいと考えたという。しかし当時、サ・マーシュではスタッフの募集はしていなかった。それならば、と大澤さんはお店を閉めたその足で夜行バスに乗り、アポイントも取らずに神戸のサ・マーシュへ直談判しに行ったという。大澤さんの行動力が功を奏したのか、たまたまお店に欠員が出て、働くことができたそうだ。二年ほどサ・マーシュで修業したあと、高崎に戻って再び開業するための物件を探した。しかし、なかなかいい物件が見つからず、一時期パン業界から離れたこともあったという。それでもパンの講習会の誘いを受けるなど緩やかにパンの世界に関わっていた。そんな時…………(続く)

 

Comme’N
●所在地:東京都世田谷区奥沢7-18-5 1F ●立地:東急大井町線「九品仏駅」より徒歩1分 ●人口:世田谷区922,257人 ●開業年:2020年8月 ●定休日:火曜・水曜日 ●従業員:15名(販売・製造含む) ●営業面積:34坪 ●客単価:1500円~2000円 ●オーブン台数:2台 ●ミキサー台数:3台 ●パンの種類:100種類


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