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川越ベーカリー楽楽 上野 岳也

 


異色の経歴をもつパン職人 会社員からパン業界へ


西武新宿線本川越駅から徒歩15分。小江戸川越の情緒ある菓子屋横丁の中に川越ベーカリー楽楽は佇んでいる。建物は釘を使わない伝統的工法で建てられており、壁は漆喰、塗装は100%植物性オイル。断熱材もペットボトルのリサイクル素材を活用しており、環境と健康に配慮されている。売り場面積は4坪ほどと小さく、そして温かい空間の中には50種類ほどのパンが並んでいる。オーナーの上野岳也さんは10年以上全くの異業種で働いた後、数年間の独学を経てパン職人になった。今回はそんな異色の経歴を持つ上野さんに、開業経緯と地元川越への想い、お店のこだわりから今後に向けてと幅広くお話を伺った。 20代の頃は、会社員として東京で大手住宅メーカーなどに勤めていたが、30代になってからは、しばらく定職につかず数年を過ごしていたという。もともと実家が酒屋を営んでいたこともあり、上野さんは小さな頃から自分で商売をしたいという想いを抱いていた。会社員時代に少しだけ野菜のバイヤーをしていたこともあり、産地直送や有機野菜の存在に興味を持ち、産地によって野菜の味が違うということに面白さを感じたという。36歳のとき、商売するには気力体力のバランスを考えて今のうちに独立しなければならないと一念発起し、パン屋を開業した。 上野さんが川越でパン屋をやることを決断したのには、複数の要因がある。生まれ育った地元に貢献したい想いから、観光客向けではなく、地元に根付いた商売がしたいと思っていた。そして老若男女に関わらず、地元の幅広い年代から愛される商売は何かと考えたとき、パン屋が浮かんだという。当時、地元にあったパン屋さんは高齢化に伴い閉店し、寂しく感じていたため、それならば自分がパン屋をやろうと考えた。パン教室を習っていた奥さんの後押しもあったという。 パン職人で独立する人の多くは、数年に渡りパン屋での修行を経験しているが、上野さんには当然そんな経験はなかった。東京に住んでいた頃はパン教室に通いながら、近所のパン屋さんの手伝いをして無償で働かせてもらったり、川越に戻ってパン屋を開業してからもしばらく講習会に通ったりして少しずつパンづくりを学んでいった。 開業するにあたり不安がなかったのかを尋ねると、「やっていく自信はなかったが、やっていくしかない」と上野さんは腹をくくったという。開業当初は日商5~6万円ほどだったが、現在は、川越ベーカリー楽楽に併設されたサンドイッチ専門店と焼き菓子屋あわせて3店舗を経営し、40~70万円へと軌道に乗せた。パン職人としての経験値が足らないのであれば工夫が必要だろうと考え、国産小麦を利用したり、地元食材とコラボしたり、日々改良を重ねパンに向き合った。そんな店づくりが差別化となり、少しずつお客様に愛されるお店となっていった。

地元川越への想いと つながりの大切さ

地元川越で開業したのは、育った町でお店を出したいという想いがあったからだ。実家が酒屋を営んでいる関係で商売仲間のつながりがあり、地元の勝手を知っている。川越には、100年以上続く歴史あるお店もあり、旧態依然としているため、まったくの新規で外部から参入する場合は受け入れられづらい土地柄でもある。地元であるということに優位性があると考えた上野さんは、地元商店のつながりを大切にしていきながら、商売をしていくことにした。そのこだわりの一つとして、なるべく地元のものを使ってパンを開発している。そもそもパンは地元商材とコラボしやすいと上野さんは言う。コラボした協力先を挙げると、地養豚所、乾物屋、酒屋など多岐に渡る。川越黒豚をパンに取り入れたり、乾物屋の鰹節や鯖節をピザの上にかけたり、犬用のスティックパンに練りこんだりしている。ほかにも近所の酒蔵にある大吟醸でサバランをつくり、酒粕で種を起こして、あまざけのカンパーニュも作っている。お味噌のパンの味噌はずっと埼玉県産を使っていて、現在は秩父産の味噌を使っている。地産地消になり、コラボすることによって、互いの宣伝にもなる。 元々、地元商店とのつながりのために地産地消や地元食材を使うことに特別な思い入れのあった上野さんだが…………(続く)

 

川越ベーカリー楽楽
●所在地:埼玉県川越市元町2-10-13
●立地:西武新宿線「本川越駅」から徒歩15分
●人口:川越市約353,619人
●開業年:2006年7月
●定休日:不定休
●従業員:10名(販売5名・工場5名)
●営業面積:16坪(売り場4坪・工場12坪)
●日商:平日18万/土日祝36万
●客単価:850円
●オーブン台数:2台
●ミキサー台数:2台
●パンの種類:50種類


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