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PATELIER FUKUMORI  福盛 幸一シェフ

ベーカリーパートナー28号シェフインタビュー


食べることに困らないと考えて食の世界へ
 

幼少期の生活は貧しいものでした。川で魚をとり、罠で鳥を捕まえて、囲炉裏にくべて食べる自給自足の生活をしていました。そんな生活のなかで一番のご馳走は、年に一度の誕生日に作ってもらえるカレーでした。カレーと言っても、具材は細かく刻まれたジャガイモだけで、それを喜んで食べるくらいに、それはそれは貧乏でした。

私には兄が二人いるのですが、大阪にある「ホテルプラザ」のレストラン部門でコックとして働いていたんです。その姿を見て、コックになれば食べることには困らないと考え、中学卒業後、兄を追うように大阪の「ホテルプラザ」に就職しました。私も兄と同じコックを希望していたのですが、レストラン部門に福盛家は3人もいらないということで希望は通らず、パン部門に配属されました。パンは中学校の給食で食べたパンしか知らなかったのですが、与えられた仕事は一生懸命やりました。当時の職人の世界は上下関係がとても厳しく、仕事に入る前にはチーフをはじめ先輩方の靴下からコック服まで綺麗にたたんで用意しておくのが当たり前でした。もちろん仕事中は雑用を中心とした追い回しばかりでパン生地に触れるのは先輩方がお帰りになった後だけです。夜中に一からミキサーを回してパン生地をつくって発酵させて焼いて検証して……と、そうこうしている内にもちろん朝になってしまいます。そのまま先輩のコックコートの準備をして仕事に突入という生活を3日続けたら、仕事中に意識を失って倒れて救急車で病院に運ばれてしまいました(笑)。なにより、パンを勉強したい思いが強かったんです。それくらいの意気込みで仕事していたので、16歳の頃くらいには少しずつパンがつくれるようになり、その面白さに引き込まれていきました。

カルヴェル先生との偶然の出会い。熱意と行動力で、日本人唯一の弟子になる
 

当時の「ホテルプラザ」はとても進んでいて、パン部門の技術指導にレイモン・カルヴェル先生がいらっしゃっていたんです。しかし、下っ端だった私は講習会の洗い物などの雑務を全て任されていたので、講義を聞くことができませんでした。まぁ、下積み時代ですから仕方のないことだったのですが、その私の姿を目にしたカルヴェル先生が「どうして君は講義を聞かないんだ?」と声をかけてくださったんです。事情を話すと、哀れみというかお情けというかそんな感じで「勉強する気があるならフランスにおいで」とカルヴェル先生が私に名刺をくださいました。これがカルヴェル先生との出会いです。

その後、パンを勉強したいという思いが募り、英語もフランス語もできないのはもちろん、日本語もままならないのに、カルヴェル先生の名刺を頼りに裸一貫で渡仏しました。先生もまさか私が本当に来るとは思っていなかったようで驚かれていました(笑)。カルヴェル先生はここまで来たという私の熱意を買ってくれ、しばらく先生のご自宅に住み込みでお世話になりました。また、国立製粉学校を紹介してくださり、そこで学ぶことができました。更に、先生は「一個だけ福盛が学びたいパンを教えてあげるよ」と言ってくださったんです。私は「クロワッサンを学びたい」と伝え、先生がクロワッサンの有名な店を紹介してくださり、そこで修行できることになりました。当時は第二次世界大戦の名残も強く、日本は敵国でしたから、時折、根深い日本人差別を感じることもありました。しかし、語学はできなくてもパンを触れば、どれくらいの技術を持っていて、どれくらいパンについて理解しているのかお互いにわかるため、パンを通して仕事のコミュニケーションは成り立ちました。言葉が通じなくともなんとかなるものです(笑)。最初の修行が上手くいったこともあって結果的にカルヴェル先生の紹介で「ムッシュ・ティエリ」、「ムッシュ・ジョアン」、「ムッシュ・ガナショ」で修行させていただきました。

カルヴェル先生のもとで修行していた18歳の時にはフレンチの巨匠で5つ星のシェフであるムッシュ・ポールボキューズが日本の大阪ホテルプラザで腕を振ることになって、光栄なことに私の焼いたバゲットを使いたいと指名してくださったんです。本当に貴重な経験をさせていただきました。



偶然が引き寄せた人生の転機となる出会い


フランスでの経験もそうですが、今思えば20代前半の私は人に恵まれていてたくさんの人に助けられました。中でも藤井幸男さん(株式会社ドンク名誉会長)と出会ったことは、私の転機と言っても過言ではありません。その出会い方も奇跡的というか偶然という感じで、講習会に向かうバスの席でたまたま相席になって声をかけていただいたんです。若造がなんでパンの講習会場に向かうバスに乗っているんだという興味から話しかけてくださったんだと思うのですが、ありがたいことにこれを機に可愛がっていただきました。そして一流になりたいのであれば次の3つのことを守りなさいと教えていただきました。「年下と付き合わないこと」「自分にプラスになる方と付き合うこと」「勉強になる人と付き合うこと」。今考えるとそれ以外の人と付き合うと誘惑に負けて遊んでしまい、時間を浪費してしまうということだったんだと思います。ですから私は、酒もタバコも賭け事もしません。

藤井さんのお陰で日仏商事に入社しながらフランスの修行に打ち込むことができましたし、渡仏の後押しもしていただきました。プライベートでは結婚式の仲人を引き受けてくださるほどお世話になりました。藤井さんに出会っていなかったら、今の自分はいなかったかもしれません。


日本でのカルヴェル先生との思い出

東京で行われたモバックショウで、ボンガードを使って日仏商事さんのブースでバゲットを焼いてほしいとカルヴェル先生が招かれ、来日されたことがありました。そのモバックショウ開催前日の深夜12時に、カルヴェル先生から「バゲットができない。助けてくれ!」と電話がかかってきたんです。当時の日本の小麦で…………(続く)

 









PATELIER FUKUMORI(パトリエフクモリ)

●所在地:大阪市中央区天満橋京町1-1京阪シティーモールB2
●立地:地下鉄谷町線「天満橋駅」から徒歩3分
●人口:約9.5万人  ●開業年:2013年4月
●定休日:京阪シティーモールに準ずる
●従業員:32人(販売27人・工場5人)
●営業面積:24坪(売場12坪・工場12坪)
●日商:平日35万円/土日祝45万円
●客単価:平日470円/土日祝500円
●オーブン台数:1台(4枚4段)
●ミキサー台数:1台  ●パンの種類:120種類(生地25種類)


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