「食べる」=「心を満たす」であること

2011年01月01日

Interview
Close up CHEZ SAGARA
相良 一公シェフ


 

パン屋に場所は
関係ない。
全ては自分次第。
本物は伝わる。

 

田舎ではハード系が売れないのではなく、
お客様が「知らない」だけ。
「食べる」=「満たす」という食生活から、
「食べる」=「心を満たす」であることを、
愛する地元に伝えたい。

2003年4月17日、人口約2万人のこの土地に、
相良シェフの故郷に錦を飾る第一歩が踏み出された。
 
 
 

  
 

Q郊外でお店を経営
するうえで、心掛けている
事はありますか?

 
 私が目指したのは、地元の人に愛されつつ、遠くからでもわざわざ来て頂けるようなお店でした。地元の方には馴染みがあるパンをより美味しく、また遠方の方にはわざわざ足を運びたくなるヴィエノワーズやハード系を中心とした魅力的且つ本物のパンを揃える事で、今迄食べたことのない地元の方々に滋味深い本当のパンの味を知って頂く機会を作ろうと考えました。
 開業後の2年は地元の人に信頼される事に軸足を置き、3年目位から手をかけたヴィエノワーズやハード系の充実に、ゆっくりシフトしました。この時期大事なのは、売れなかったら作らないのではなく、少量でも作り続けること。焼いた本数がそのまま残ったこともあるバゲットが、今ではパン・ド・ロデブやカンパーニュも含めて50以上売れる日もあります。
 数字に関しても日商10万円あったとしても、それが「また食べたい」と思って頂ける10万円なのか、上辺の数字ではなく内容を意識しています。ここにしかないクオリティーであれば、浮気されない、ブレにくい数字だと思うからです。当店のように田舎だったり客数の波が大きかったりすると、チャンスロス、廃棄ロスが多くなりがちです。対策として、30分で出せる商品を10種用意しています。品数が少なくなってきた時にうまくバランスを取って、数は少なくても種類がある程度残っている事と、営業終了間近で売り切れる事を理想としています。チャンスロスを減らし、廃棄ロスも下がり、利益率は上がります。現在、廃棄率は1%以下です。
 
 
 
 

Qところで、なぜこの
場所でお店を開業しよう
と思ったのですか?

 
私にとってパン屋を開業することは当たり前でした。小学生が卒業したら中学校に通うように、人生設計の中にごく自然に組み込まれていたんです。開店を決意し、物件を決める時のことは今でも鮮明に覚えています。探し当てた土地の前は幹線道路から一本入った生活用道路で、一時間に車が1台程度しか通らない状態でした。目の前に広がるのは、田園風景と雄大な耳納連山だけ。この土地での開業は私の父以外、全員反対でした。ただ、こんな場所でもお客様が来てくれるパン屋さんにならないと、30年・40年続けられない。修業先・トランブルーで培った間違いのない本物を出せばお客様に受け入れられる。そう考えた私は、この土地への開店を決意したのです。


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CHEZ SAGARA
相良 一公シェフ
Prof ile
1972年福岡生まれ
福岡大学卒業後、「菓子工房ミレイユ」「ホテル日航福岡ベーカリー」を経て、岐阜県高山市
「トラン・ブルー」成瀬氏に師事。2003年、生まれ育った故郷・福岡県久留米市田主丸に
「シェ・サガラ」をオープン。
2005年 第2回サフ製パンコンテストにて「A部門賞」受賞。
2005年 第14回カリフォルニアレーズン新商品開発コンテストにて「審査員特別賞」受賞。
2007年と2013年クープ・デュ・モンドヴィエノワズリー部門 最終選考に残る。
E.F.B(エキップド・フクオカ・ブーランジェ)会長。