「お客様」と「お店」の新しい関係

2011年01月01日

Interview
Close up  Ca marche
西川 功晃 シェフ

~「お客様」と「お店」の新しい関係~


  

 

Q今後のベーカリーに
必要な視点と取組みを
教えてください。


「お客様」と「お店」は互いに高め合い、育て合う「パートナー」だ。
お店はお客様に育てられているといっても過言ではない。
お店はお客様にパンをおいしく食べいただけるように知恵と技を尽くして提案する。
そして、今まで体験したことのない本当のパンの美味しさを発見していただき、
お客様のパンを選ぶ目や味に対するこだわりを育てていく。
パンの魅力を伝道することを通じて、お客様の質を高めるのだ。
こうした活動が次回の来店ではそのお客様の期待を超えようという頑張りを生み出し、
お店はさらなる感動をお届けできるように成長していく。
そんな好循環サイクル実現のための取組みついて、西川シェフに聞いてみた。
 
 
  

 

Q今後のパン屋さんにはどんな
取組みが必要だと思いますか?

 
 まずは「考えて動くこと」でしょうか。それは30年前、パティシエとして働いていた頃の私自身の経験からきた信念です。当時、私は毎日仕事が終わった後は必ず2~3件の洋菓子店に行きました。他にも兄が料理人だったことに影響を受けて休日にはレストランにも行き、情報収集と人脈を広げるために食べ歩きをしていました。レストランでの目的はシェフと実際に会って話をすることで、アクションを起こす方法も工夫しました。1つはお店のコンセプトとその料理の勉強を事前にしておくこと。シェフと会った時の話を盛り上げる為ですね。もう1つは訪問のタイミング。13時頃のランチ終了間際に入店し、ランチタイムの最後の客として残るんです。そこでスタッフさんに「シェフに挨拶したい」と切り出し、会えたら自己紹介をして今度は「厨房が見たい」とお願いをするんです。上手く中に入れてもらったら、大きな声で挨拶して『おっ、こいつは違うな!?』と思ってもらえたら掴みはOK。もう、お店の人たちと一気に仲良くなれます。こうして行動することで、様々な料理人の方々の考え方や料理に対する姿勢を目の当たりにできたほか、バブルがはじけた時はレストランのシェフが必死に悩んでいる姿も見てきました。その時に「考えて行動」していたシェフは今でも元気ですね。食べ歩きをして出会った洋菓子店で実際に修行させていただいたこともあり、当時の経験は今の私の血肉となっています。時代や景気を理由にしがちですが、「考えて動くこと」は大切だと身を持って教えてもらいました。
 
 

 

Qパンの開発において、
大切にしていることは何ですか?

 
多くのシェフとの出会い、会話や食べてきたものなど様々な経験が「エッセンス」として私のパンを形作っているのは確かです。ただパンを開発するにあたって、これだけは大切にしているということがあります。それは「お客様が食べるシーン」を想像してのパンづくり。「こういう時にこのパンを食べてほしいなぁ」というイメージを膨らますことなんです。.


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サ・マーシュ
西川 功晃シェフ
Prof ile
広島アンデルセン、オーボン・ヴュータン、東京と芦屋・ビゴの店を経て、神戸コムシノワグループの荘司索オーナーに出会い、1996年、荘司氏とともにブランジェリーコムシノワ、続いてブランジェリーコムシノワ アンドオネストカフェをオープン。
次々に斬新なパンを発表して注目され、日本のパン業界を牽引する一人。2010年、神戸・北野にサ・マーシュをオープン。